医療機器管理

医療機器管理

ごあいさつ
医療機器管理室
室長

臨床工学技士は、医学と工学の両面を兼ね備えた専門医療職の国家資格です。
病院内の医療機器の操作や保守点検を行い、チーム医療の一員として安全な医療の提供を目指しています。
看護師新採用者に対する医療機器のオリエンテーションや全職員対象の院内研修会なども担当いたします。

私たち臨床工学技士は、医療機器を通じて患者さんへ安心・安全な医療を提供しなければなりません。
医療機器の知識はもちろんのこと、医学的な知識を向上させ、患者さんの病態や心を感じとれるような技士を目指しています。
また、医療事故を未然に防ぐ取り組みやトラブル発生時も迅速に対応できる力を身に付けるように学習に努め、目標に向かって日々努力を重ねていきたいと考えています。

資格・試験(スタッフ 12名)

※2024年4月現在

透析技術認定士 5名
3学会合同呼吸療法認定士1名
医療機器情報コミュニケータ
(MDIC)認定
2名
透析技能2級検定試験合格 2名

業務内容

血液浄化業務

血液透析 (HD) 、血液透析濾過 (オンラインHDF、i-HDF) において、安全に治療が行えるように医師・看護師と連携を図り業務を行っています。
透析機器の定期的なメンテナンス (オーバーホール) や修理は可能な限り自分たちで行っており、災害対策への取り組みとして停電訓練も実施しています。
また、血管エコーによるシャントの評価を行い、シャントトラブルの早期発見に努めています。

※シャント
血液透析を行う際、十分な血液量が確保できるように、動脈と静脈を体内、または体外で直接つなぎ合わせた血管のこと。
当院では、透析導入時に必要なシャントの作成を自己血管から人工血管まで行っています。
血液透析濾過
血液透析濾過は、血液透析と血液濾過を併用した治療です。
血液透析では尿素やクレアチニンなどの小分子量物質の除去は優れていますが、分子量が大きくなるにつれて除去効率は悪くなります。
中・大分子量物質の除去を行うには、腎臓と同じように濾過という力を利用して体液ごと物質を除去し、除去された水分の補液を行う血液濾過という治療の方が優れています。
この両者の長所を生かし、欠点を補う治療法が血液透析濾過です。
オンラインHDF
血液透析濾過には、オフラインHDFとオンラインHDFという方法があります。
オフラインHDFは、補液バックなどに入った薬剤を補充液として使用するため、濾過するために足される補液量は少なく限られています。
一方、オンラインHDFは、透析液をそのまま補充液として使用するため、濾過するために足される補液量は20L~70Lと多くすることが可能で、より多くの物質の除去ができます。
一般的に言われているオンラインHDFの利点
  • 心臓への負担軽減、透析中の血圧低下の防止
  • 透析アミロイド症の予防と亢進抑制
  • 貧血の改善
  • 栄養状態の改善
  • 関節痛やしびれの改善
  • 皮膚のかゆみの改善
  • 下肢のイライラ感の改善など
このように、オンラインHDFは、患者さんの生命予後の改善が期待できる治療法です。
i-HDF
i-HDFは、間歇補充型血液透析濾過のことです。血液透析を行いながら、一定の間隔毎に、膜を通じて透析液の補充を行う治療法です。
この治療は一定の間隔毎に入る補液によって、末梢循環血流量の改善や血圧低下の予防に加え、膜の洗浄効果による溶質除去効率の向上が期待されます。
透析液の清浄化
このようにオンラインHDFやi-HDFは、透析液を体内に入れるため、透析液の水質管理が重要です。
エンドトキシンや生菌が入った汚染された透析液を使用すると、炎症性サイトカインの上昇やエンドトキシンショックなどの弊害が起こります。
そのため、当院は、日本透析医学会の定める透析液水質管理基準を満たし、透析液の清浄度を確保しています。
また、九州厚生局へ透析液水質確保加算2の届出を行っています。
医療機器管理業務

血液浄化装置や人工呼吸器のような生命維持管理装置だけでなく、輸液ポンプ、シリンジポンプ、除細動器、手術機器などの院内の全てのME機器 (医用電子機器) を管理します。
ME機器がいつでも安心して使用できるように、定期点検や対応可能な修理まで保守管理業務を行っています。

1日の仕事の流れ(日勤業務の一例)

7:45~透析機器の始業点検
透析液の濃度測定
プライミング
8:00~透析治療の穿刺および開始操作
10:00~透析機器・RO装置の使用中点検
透析液粉末の補充
11:00~休憩(45分)
12:00~返血
14:00~次回透析の準備
透析機器のメンテナンス
院内ME機器の定期点検
透析機器の薬液補充やRO水の水質チェック等
16:15~業務終了