前立腺肥大症

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは?
前立腺肥大症は、加齢に伴って前立腺が肥大し、尿道を圧迫して尿が出にくくなる病気です。前立腺の大きさは、通常クルミ大程度ですが、鶏卵大以上に肥大することもあり、まず、尿の回数が多くなり(頻尿)、就寝後も排尿のため何度も起きてトイレへ行くようになります(夜間頻尿)。また、尿の出が悪くなり(排尿困難)、症状が進むと全く尿が出なくなる事もあります。
今後、高齢化が進むことで、前立腺肥大症の患者数は、ますます増えると予想されます。
通常の前立腺と肥大した前立腺
排尿症状
排尿困難は、尿が出にくい症状の総称です。
「尿の勢いが弱い」、「尿が出始めるまでに時間がかかる(尿を出したくでもなかなか出ない)」、「尿が分かれる(尿線が分かれて出る)」、「排尿の途中で尿が途切れる」、「尿をするときに力まなければならない」などの症状が挙げられます。
畜尿症状
前立腺が肥大すると、膀胱が過敏状態となり、充分な量の尿を貯められなくなります。「尿の回数が多くなる(頻尿)」、「尿を我慢できなくなる(尿意切迫感)」、「尿を漏らす(尿失禁)」などの症状が挙げられます。
排尿後症状
排尿後「すっきりしない」、「尿が残っているような感じがする」といった残尿感や尿が終わったと思って下着を履くと尿がたらたらと漏れ下着が汚れる「排尿後尿滴下」などの症状が挙げられます。

問診

『 国際前立腺症状スコア(IPSS) 』を用いた問診票への記載
※IPSS⇒1995年にWHO(世界保健機関)により制定された世界共通で使われている前立腺肥大症の症状の客観的な評価法
排尿チェックシート

検査

血液検査(PSA測定)、直腸診、経直腸超音波検査(エコー)、尿流量検査、内視鏡検査など医師が必要と判断した検査を実施いたします。前立腺癌など他の病気を除外診断することに加えて、前立腺の大きさや硬さを測定します。

血液検査
前立腺の病気には、前立腺肥大の他に「前立腺癌」があります。血液中の前立腺特異抗原(PSA)を測定することで、早期に癌を発見することが出来ます。
直腸内指診(直腸診)
肛門から指を入れて直腸越しの前立腺を触診し、前立腺の大きさや硬さを診断します。排尿障害の原因が、前立腺肥大によるものか、前立腺炎や前立腺癌などによるものかの判定を行います。
超音波(エコー)検査
超音波を発信する細い棒状のプローブ(人差し指程度の大きさ)を、肛門から挿入して、前立腺の大きさや形を測定します。
尿流量測定
トイレ型の検査機器に排尿して、おしっこの勢いや出ている時間を調べます。簡便に排尿機能をスクリーニングすることができます。
内視鏡検査
ファイバースコープで尿道の狭い部分や閉塞部位を直接観察できる手術前に必要で重要な検査です。

治療方法

医師の診断のもと、患者さんと相談の上、治療方針を決定します。

軽症の方は、主に薬物療法を用いますが、薬を止めると症状が再発するのが欠点です。
症状が進行し、薬物療法では治療効果が期待出来ない場合(残尿が50ml以上)は、外科的療法の経尿道的前立腺切除術(内視鏡を尿道内に挿入し、電気メスで肥大した前立腺を取り除く方法)や低侵襲性治療法のツリウムレーザ前立腺蒸散術(レーザを使って前立腺を蒸散する)での治療を行っています。

電気メスを用いた内視鏡手術 (経尿道的前立腺切除術:TUR-P)

前立腺治療の中で、主流の外科的治療法です。
下半身麻酔(脊椎麻酔・硬膜外麻酔)が主ですが、全身麻酔を行うこともあります。
尿道の中に挿入した内視鏡で前立腺を観察しながら、内視鏡の先端につけた電気メスで肥大した患部を切り落とします。
手術終了時に長時間効果のある鎮痛剤を注入しますので、術後の痛みは殆どありません。
また、手術後は止血するために、尿道カテーテルを術後3~5日留置するため、約1週間の入院が必要です。
手術は、経験豊富な泌尿器科専門医が行っており、安定した手術成績でトラブルは殆どありません。
なお、とても大きな前立腺を切除する手術は、輸血を必要とすることがあります。
その場合は、手術の1週間前に自分の血液を採血・保管し、手術後に戻します。(自己血輸血)
基本的に、他人の血液を輸血することはありません。

手術症例数
2020年70件
2019年94件

ツリウムレーザー前立腺蒸散術(ThuVAP)

薬物療法で効果が十分でない方や脳や心臓に併存疾患がある方、抗凝固剤(血液サラサラの薬)を内服中などのリスクが高い方は、前立腺をツリウムレーザーで蒸散させることにより、「尿の通り」を良くする治療です。従来から行われている一般的な治療方法に比べ、治療時間が短く、出血の少なさなど身体への負担が軽減されたヨーロッパ泌尿器科ガイドラインでは、推奨グレードAの治療方法です。

ツリウムレーザー手術の特徴
  • 身体への負担が少ない
  • 手術後の痛みや出血が少ない
  • 短期間で尿道カテーテル抜去可能
  • 早期退院(入院期間4~5日)が可能
  • ハイリスク(脳や心臓に併存疾患がある方)患者さんも治療可能
  • 抗血栓療法中の方(抗凝固剤:血液サラサラの薬を内服中の方)も手術可能
前立腺の手術方法 図
前立腺肥大症の治療 ツリウムレーザー Quanta Cyber TM
レーザー前立腺蒸散術 ThuVAPの流れ
参考手術動画サイト(※医療従事者向け)
「動画集」→「Quanta Cyber TM」→「ThuVAP」
https://www.edaptechnomed.co.jp/movie.html