女性泌尿器科について

20年以上のキャリアを持つ女性医師が在籍しています。

当院では、尿失禁や骨盤臓器脱などを中心とした泌尿器科疾患を専門に診る、20年以上のキャリアを持った、全国でも数少ない女性泌尿器科医師が診察を行います。

女性泌尿器科の疾患は、悩みを抱えながら受診をためらっている方も多いです。当院は、下記のような悩みを抱え、気にかかる症状を自覚する方の力になれるよう努力します。そして、何より「生活が快適になった!」「治療してよかった!」と言われる患者さんの笑顔を1人でも多く見たいと願っています。

医師紹介

女性特有の症状について

このような症状でお悩みの方はいませんか?

  • 突然の強い尿意で間に合わず漏れる
  • お腹に力が入るとちょっと漏れる
  • おしっこする時に痛む
  • デリケートな部分に違和感がある

尿漏れというのは男女関わらず非常にデリケートな問題です。特に女性は、尿道が3~4cmと短く、男性と比べて尿漏れしやすい傾向があります。尿漏れと同様に、女性に多くみられる頻尿や過活動膀胱など尿に関する問題、出産などを原因とした臓器が下がる骨盤臓器脱などの病気は、快適な日常生活の妨げにもなります。これらの問題を「恥ずかしい」、「年齢のせい」と諦め、放っておくと重症化する場合もあります。しかし、早めの受診・治療をすることで症状が改善できる可能性もあります。まずは一度、お気軽にご相談ください。

外来担当日のご案内

Dr.中島のぶよ コラム

頻尿や尿失禁
恥ずかしがらずに治療をしましょう

女性によくみられる
「尿失禁」と「骨盤臓器脱」

過活動膀胱
中島 のぶよ

最近、新聞や雑誌等でよく取り上げられる病気ですので、病名を聞かれた方も多いのではないでしょうか。具体的には、「強い尿意が急激に起こり、我慢しづらい」という症状で、尿失禁を伴う場合と伴わない場合があります。
我が国では、40歳以上の男女全体では12.5%(8人に1人)。80歳以上では、33.3%(3人に1人)の方に過活動膀胱の症状があるという統計結果が出ています。また、日頃診療をしている中で、小児で症状を訴える患者さんもよく目にします。このように、非常に多くの方が過活動膀胱に悩まされています。特に、ご年配の方は、「もう歳だから仕方ない」とあきらめておられる方もいらっしゃいますが、過活動膀胱は薬による治療が可能な病気です。
なお、注意を要す点として、膀胱がんや尿路結石など他の重大な病気が隠れている可能性もあるということです。過活動膀胱の症状が気になる方は、あきらめることなく、泌尿器科への受診をお勧めします。

当院での治療法
腹圧性尿失禁

女性の骨盤骨は、赤ちゃんを膣から出産するため、大きく底が抜けた構造になっています。妊娠・出産・加齢などにより、骨盤底を支えている筋肉や靭帯がダメージを受けた場合や女性ホルモンが少なくなって外陰部や尿道の粘膜が萎縮してきた場合、尿道のしまりが悪くなり、咳をした際や立ち上がった際に尿が漏れるようになります。

当院の治療方針として、まず薬による治療を行います。薬の効果を判断するための期間として、2~3か月程度要します。なお、薬の効果が認められない場合は、手術を検討します。
また、重症の尿失禁の方、スポーツをする方、薬の副作用が出現した方、薬を継続することにためらいのある方に対しては、先に手術をお勧めする場合もあります。

現在、腹圧性尿失禁に対する手術療法は、ポリプロピレンメッシュテープで尿道を支えるTVT手術やTOT手術が主流です。短期入院で手術の効果が高いという長所が挙げられます。しかし、メッシュテープ(異物)が生涯体内に残留することによる、感染症や疼痛などの深刻な合併症も報告されています。
当院では、「異物を体内に残さない」という方法にこだわり、メッシュテープの代わりに、患者さんご自身の腹直筋筋膜をテープ状に切り取ったものを用いて、尿道を支える手術を行います。縫合などに使用する糸も、すべて体内で吸収されるものを使用いたしますので、異物の残留による合併症はありません。筋膜は、筋肉を覆っている膜で、切り取った場合も筋肉そのものは傷つきませんので、手術後の筋力低下なども心配無用です。なお、この手術療法は、筋膜を切り取るため下腹部に3~5㎝の傷ができること。10日間程度の入院期間を要すことが短所として挙げられますが、TVT手術やTOT手術と比較しても遜色ない手術の効果が得られています。

当院での治療法
骨盤臓器脱

先ほどの、腹圧性尿失禁の項で述べたように、女性の骨盤底筋は、妊娠・出産・加齢などが原因で、脆弱化いたします。そうなると骨盤底筋は、骨盤内臓器である膀胱、子宮、直腸などを支えることができなくなり、あたかもお産のように膣から膀胱や子宮、直腸が下垂してしまいます。膀胱が下垂すると「膀胱瘤」、子宮が下垂すると「子宮脱」、直腸が下垂すると「直腸瘤」という病名で呼ばれます。また、子宮全摘後に残った膣そのものが下垂してくる「膣脱」や「小腸瘤」もあります。「入浴時に陰部にピンポン玉のような軟らかいものを触れる」、「夕方になると、膣に何か挟まった感じがする」などの軽い症状からはじまり、「股の間に常にものが挟まった状態」、「下着に血液が付く」などの様々な症状が挙げられます。

昔は、多産で力仕事も多かったので、多くの女性が骨盤臓器脱を当然のように放置していました。しかし骨盤臓器脱は、放っておいても自然に治ることはありません。尿路を圧迫することに伴い、排尿障害や腎機能障害につながることもあるので、注意を要します。
このような、骨盤臓器脱の治療には、下垂した臓器を支えるための手術が必要です。近年は、メッシュ素材を用いて行う方法が主流になっていましたが、2011年に米国でメッシュによる合併症に対して警告が出されて以来、我が国でも安全性を見直す方針に変わっています。
当院では、骨盤臓器脱手術についても「異物を体内に残さない」という方法に徹底してこだわっています。また、泌尿器科の枠を超え、子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱・小腸瘤などすべての骨盤臓器脱に対応可能です。子宮脱については、「マンチェスター手術」という子宮を摘出しない手術を行っており、高齢の方、持病のある方、体力に自信のない方であっても、治療が可能です。

当院での治療法